宮若市T邸の離れでは、棟上げと屋根じまいを終えました。
それから数日雨が続きましたが、悪天候の中、現場では瓦を葺く作業が続いています。
いよいよ今週末より、宮若市のT邸にて棟上げを予定しています。ずっと大工職人の作業場で加工をすすめていた木材は、時間をかけてすべて手刻みで仕上げられました。T邸の離れとなるこの建物は、プレカットされた木材を一切使わず、すべての木材を大工職人の手によって加工されたものを使っていきます。工場で機械が自動的に加工するプレカットに対し、大工職人が木のくせ(木の表・裏や木目によって反り捻じれ曲がりが出る方向や強度が違う)を読み一本一本の材料に墨を付け、ノコギリやノミ、カンナを使い手作業で加工を行う工程が『手刻み』と呼ばれます。ここでは、手刻みの木材をはじめ、建て方も伝統的な工法をもちいて進めていく予定です。
母屋が建って6年、外壁も風雨にさらされ経年変化が進みとても良い雰囲気に成長しています。その姿をこうして見せていただくことができて嬉しい。建物のまわりにはたくさんの薪が積み上げられ、草木が植えられ、この家での暮らしを大切に育まれている様子がよくわかります。
現在大工さんの工房では、宮若市T邸の離れにつかう木材を加工しています。番付も終わり加工も順調です。約5メートルある立派な太鼓梁のサンプルに釿(ちょうな)をかけたので、施主ご夫妻に確認して頂きました。
写真①
釿(ちょうな)とは、斧の一種で木の表面を削るために、石器時代から使われている大工道具です。(「大工道具の化石」と言われているそうで、ベテラン職人の佐々木さんがお持ちでした!)直角に曲がった柄の先に平たい刃がついています。この刃を鍬(くわ)のように振り下ろして、材料を粗削りするのです。削った様子が2枚目の写真。他にも職人の手によって手刻みで仕上げられた木材が着々と準備されています。
このようにこちらの現場では、伝統的な工法や道具をもちいて丁寧に建物を建てていきます。
2018年に弊社がデザインと施工を手掛けた宮若市のT様邸。
6年たった今でもお店に買い物に来てくださったり、いつも素敵でセンスのいい暮らしをインスタグラムで発信されていて、私共が手掛けた家を大切に育てて下さっている様子を見てとても嬉しく思っています。そしてこの度、ご夫妻の熱い希望により、ご自宅の敷地内に新たに建物をつくる計画がスタートしました。
現在、大工職人の工場で木材の加工をすすめています。今回使用するたくさんの木材も、2018年ご自宅を建てた時と同様に、福岡県朝倉市の杉岡製材所にお願いしました。天日でしっかりと乾燥させ管理された丈夫で美しい杉材が届いております。
先日ご夫妻と一緒に「番付(ばんづけ)」の現場に立ち会いました。番付とは、どの材をどの部分に使うのかを決めて、その位置がわかるように部材に印をつけていくこと。本格的な工事は2月から始まる予定です。楽しみです!